2018年1月4日木曜日

Talvilauluこぼれ話(その1・楽器編)

(その1)とか書いてるけど果たして続くかどうかわからん!わからんぞ!


先日のCOMITIA122で発表したTalvilauluですが、いろんな方からポジティブな感想をいただきまくりで泪を流しまくりです。ありがとうございます!!!

実は、本来ならいつも出してる民話系の同人誌みたいに解説ページも用意しようと思ってたんですが、時間とページ数のあれこれで挿し込めなかったので、この場でちょっと解説みたいな事を書いていこうと思います。本のあとがきで「解説セリフはやだ!」みたいなこと書きましたが、あくまで「本編内でキャラクターに喋らせることが嫌」ってだけで(枠外にちょいちょい書いたりはします、地の文みたいなもんだし)、そもそも世界中の民話を紹介してみんなに読んでもらいたい!読め!!っつって毎回本出してるわけですからね、やっぱりオリジナルとはいえ解説できるところはしていきたいです。今回ページを割けなかったのが結構残念だったんですよ。ツイッターでちょっと呟いたりはしたけどね。

そういうわけで、まずは読んでくれた皆様が一番興味をもってくれた(と思われる)、ラヴッラが使っていた楽器の話をしていこうと思います。


1・シャーマンドラム
 多くの国のシャーマニズムにおいてもっとも重要な楽器の1つ。シャーマンの多くはこういった動物の皮を張ったドラムを一定のリズムで叩きながらトランス状態になり、魂を神々の世界へ飛翔させたり(脱魂型)その身に神を宿したりします(憑霊型)。ラヴッラはトランス状態になるためだけでなく、神に祈りを捧げ呪術を駆使するためにも楽器を使います。
 また、ラヴッラは北欧の少数民族であるサーミの人々がベースとなっていて、本編中に出てくるシンボル(名乗りをあげるところや表紙)も実際にサーミ人に伝わるものを使ったりアレンジしたりしています。裏表紙は彼女をそれっぽく描いたらこんな感じかな〜と思って描いてみまし
 下に貼った動画はノルウェーのサーミによるドラムとヨイク(Joik、サーミ人に伝わる歌唱法。アナ雪のオープニングでヘイヤーヤーしてたあれです)で、ラヴッラもドラムを使う時はこうやってヨイクをしています。
 そういえば、2016年の冬頃にスウェーデンから来たサーミの方のヨイク(ドラムはありませんでしたが)を実際に聴く機会があって行って来たのですが、非常に繊細かつ自在に揺れ動く素朴で透き通るような声が本当に不思議で美しかったです。軽〜くですがサーミのシャーマニズムについても直接話を聞けたのですが、それはまたいつかの機会に書こうかな…箇条書き程度にしかできないと思うけど。




2・ハーディ・ガーディ(Hurdy Gurdy)
 ラヴッラが扱う楽器の中で最も複雑で近代的なもの。文明と知恵の匂いがするぞ。
 ハンドルをぐるぐる回すことによって本体に対して垂直にはめ込まれたホイールが回り、それによって弦を擦って音を出します。ドローン弦と旋律弦があり、バグパイプのように一定の音を鳴らし続けながら一方でメロディを奏でることができます。初めてコミティアに参加した時に出したコピー本のキャラにも持たせました。ラヴッラのデザインは彼女を再アレンジしたものです。



3・ヨウヒッコ(Jouhikko)
 ラヴッラが蛇をブッ飛ばした時に使ったフィンランドの民族楽器。本体に2〜3本の弦が張ってあり、一方の手で弓を引き、もう一方の手の指で弦に触れて音を奏でます。聴いてもらえばわかる通り、非常に荒々しくプリミティヴな音で超かっこいいです。
 余談ですが、エストニアにはヒーウ・カンネル(Hiiu Kannel)またはタルハルパ(Talhalpa)と呼ばれるこれとほぼ同じ楽器が存在します。弦が4本あったりヨウヒッコよりも角ばっているような見た目です。民族的にも両国は非常に近いので、例えばカンテレそっくりのカンネルという楽器もあったり(さらに南のラトヴィアにはクァクレというこれまた似た楽器があります)、カレワラに含まれる説話とルーツが同じであろう民話がエストニアでも採集されていたり、共通する文化が多いですね。誰かカレヴィポエグ完訳してくれ。

(音がでかいので注意)


 とまあこんな感じ?付け焼き刃レベルの知識だし、こういう記事書くのって初めてだから面白い文章じゃないかもしれないですが、必死にもんどり打ちながら書きました。間違いの指摘お待ちしております。
 もちろんTalvilauluだけでなく、以前の本とかでも気になる事があればここでもツイッターに直接リプをブチ込んでくださっても構わないので、遠慮なくどうぞ!

0 件のコメント:

コメントを投稿